こんにちは。イズミ塗装代表の泉田です。
先日、見積もりのご提案でお伺いした築18年のお客様から、こんなお話を聞きました。すでに他社2社の見積もりを取られていた方です。
「1社目には『壁はやらなくても大丈夫ですよ』と言われて、『えっ』と思って。2社目は『やってもやらなくてもいいと思うけど、見た目が気になるならやってもいいかも』って。やらなくていいってことはないんじゃないかなと思うんですけど、プロの方に言われると、えー、と思ってしまって」
それを聞いた瞬間、私は心の中でこう思いました。「また、このパターンか」と。
正直に言うと、この「塗らなくていいですよ」と言う業者さん、ここ数年で本当に増えています。そして毎回、同じように戸惑ったお客様が、私のところに相談に来られます。プロにそう言われたら、素人のご自身の感覚のほうを疑ってしまいますよね。当然です。
でも、はっきり言います。理由を説明せずに「塗らなくていい」と言う業者は、あなたの家を診断していない証拠です。
第1章:先に、フェアなことを言わせてください
誤解してほしくないので、最初に言っておきます。
「塗らなくていい」という言葉そのものは、間違いではありません。
それどころか、私自身がお客様に「塗らない」という選択肢をお出しすることが、しょっちゅうあります。実際にあった例をいくつか挙げます。
例1:スノーダクト(無落雪屋根の排水部分)。別の会社さんに「排水溝まわりも塗装をかけます」と提案されたお客様がいました。私はその場でこうお伝えしました。「スノーダクトは、塗装だとほぼ剥がれます。であれば、何もしない方がマシです」。水が溜まる場所と塗装は、ものすごく相性が悪い。屋根や壁は水が流れるように必ず傾斜がついていますが、スノーダクトは水を溜めて流す場所です。水が溜まるところに塗装は使わない。これが原則です。しかも一度塗ってしまうと、将来ちゃんと防水工事をやり直すときに、剥がれた塗膜を全部除去する費用が余計にかかる。塗ることが、未来の選択肢を潰すんです。
例2:アルミの水切り。アルミは本来、塗らなくていい素材です。汚れが目立っているようなら塗ることもご提案しますが、その場合も必ずお伝えすることがあります。専用塗料を使っても、何かをぶつけたり引きずったりして傷がつくと、塗ってある分、かえって目立ちやすいというリスクです。だからここは、リスクをご説明した上で、塗るか塗らないかをお好みでご判断いただいています。
例3:築15年のガルバリウム外壁のお宅。「建てたときにメンテナンスフリーと言われたから、なるべく塗りたくない。心配なコーキングだけやりたい」というご相談でした。詳しく伺うと、約10年後に増築のご計画があって、そのときに外壁ごとやり直す予定が見えている。予算もその時期に向けて貯めていらっしゃる。それなら答えは決まっています。「今は塗らなくていいです。コーキングだけやりましょう」。ちなみにこうした増築のご計画も、イズミ塗装で一緒にご相談をお受けしています。だから「その時」まで含めた提案ができるんです。
おわかりでしょうか。「塗らなくていい」には、必ず理由と、その先の計画がセットでつくんです。
私が怒っているのは、「塗らなくていい」と言うことに対してではありません。理由を言わずに「塗らなくていい」と言い放ち、お客様の判断材料を奪ったまま帰っていく業者に対して、怒っています。
第2章:「塗らなくていい」の裏にある、業界のからくり
では、なぜ理由のない「塗らなくていい」が生まれるのか。冒頭のお客様のお宅で、実際にあったからくりをお見せします。
このお宅の外壁は、1階の下から2階の上まで継ぎ目なく1本でつながっている、長尺タイプの金属サイディングでした。しかも、表面がフラット。
金属サイディングは、手塗り(ローラー)だと本当に難しい素材です。ガルスパンのような、よく見かけるガルバリウム外壁でも表面はフラット系で、手塗りでやるとダレ——塗料の垂れやムラ——が出やすい。普通サイズのものなら、うちでもローラーで塗ることはあります。それでも、ダレを出さずに仕上げるには技術が要ります。
そして長尺は、その中でも別格です。ここは吹き付けが基本。10メートル、11メートルある壁を、1本もの・継ぎ目なしで仕上げる。高さがあるので足場には必ず段ができて、手塗りならその跡がフラットな面に全部残ります。吹き付けであっても、人間の目の錯覚まで計算して継ぎ目を目立たせない、というレベルの技術が要る世界なんです。
ここに、業界の構造問題が重なります。今は、吹き付けをやる現場そのものが減りました。戸建てしかやってこなかった職人は吹き付けの経験を積む機会がなく、技術力が下がってきています。ところが、その技術力のままでも、ホームページ制作会社に頼めば立派なサイトは作れてしまう。ネット上で「技術のない業者」に当たる確率は、実は上がっているんです。
つまり、こういうことです。
「塗らなくていいですよ」の正体は、多くの場合「うちでは塗れません」なんです。
「塗れません」と正直に言えば、技術がないことを認めることになる。過去に塗ってクレームになって、直せなかった経験のある会社もある。だから「塗れない」が「塗らなくていい」に言い換わる。もう一度言います。「塗れない」が、「塗らなくていい」に言い換わるんです。
ちなみに、うちの職人は、大型物件や商業施設まで様々な現場を渡ってきた職人たちです。難しい技術の塗装には専門の職人が数人いて、そういう案件はその職人たちが対応します。だからいろんな物件に対応できる。その最高の技術を、戸建てに活かしている——これがうちの特徴です。
お客様には、その区別がつきません。プロの口から出た言葉として、同じ重さで届いてしまう。私はここが、この業界のいちばん不誠実なところだと思っています。
第3章:本当に塗らなかったら、10年後どうなるか
「でも、実際うちの壁はまだきれいに見えるし」という方のために、塗らなかった場合に何が起きるかを、感覚ではなく仕組みでお話しします。冒頭のお客様のガルバリウム鋼板を例にします。
ガルバリウム鋼板は、もともと「20〜30年メンテナンスフリー」とうたって売り出された素材です。だから「塗らなくていい」と言われると、妙に納得感がある。ここが落とし穴です。
実際の札幌の現場では、白サビが出ます。白い粉のような、あれです。私はお客様に「サビの赤ちゃん」と説明しています。
白サビの段階なら、まだ打つ手はたくさんあります。でも放置すると、赤サビに転換します。そして赤サビは、見た目だけの問題ではありません。
まず、塗る前のサビ落とし(ケレン)の手間が変わります。もっと厄介なのは、一度発生したサビは、取り切れない場合があるということです。取り切れないサビの上に普通に塗っても、1年ほどでまたサビが浮いてくるケースが、実際に多くあります。だからうちでは、赤サビが出た金属外壁は、処理の仕方そのものを変えます。サビ止めの工程を増やす。塗り回数を増やす。状態によってはパテで処理する。やる内容がまったく変わるので、一箇所あたりの費用が変わってくるんです。
そして、腐食が進んで穴が開いてしまったら、もう塗装では戻せません。張り替えです。赤サビでも腐食がひどく、塗ってもすぐにサビが出てしまう状態も、同じく張り替えになります。そうなったとき、費用の桁が変わります。
もうひとつ、知っておいてほしいことがあります。塗膜の性能は、なだらかには落ちません。崖のように落ちます。
「去年まではそうでもなかったのに、今年見たら一気に劣化が進んでいた」——お客様からよく聞く言葉ですが、気のせいではありません。塗膜が防水機能を失う境目を越えると、水が入り始めます。札幌の場合はそこに凍結融解が加わります。染み込んだ水が凍ると、体積が約10%膨張する。膨らんで、緩んで、また凍って。壁は内側から壊されていきます。
だから「今きれいに見えるか」は、判断基準になりません。判断基準は「崖の手前にいるか、もう越えたか」です。そしてそれは、診断しないとわからない。診断せずに言える「塗らなくていい」は、存在しないんです。
第4章:正直に言うと、私にも失敗があります
偉そうに書いてきましたが、私自身の話をさせてください。
経験の浅かった頃、塗装で、大きな失敗をしたことがあります。塗っても塗っても、下から水分が上がってきて、剥がれてくる。何度やり直しても、剥がれてくる。当時の私は、なぜそうなるのか、理屈すらわかりませんでした。あの現場をきれいに収めきれなかった悔しさは、今でも忘れていません。
悔しくて、そこから「なぜ剥がれるのか」「塗ってはいけない条件は何か」を徹底的に勉強しました。メーカーに電話をかけまくり、材料屋と話し込み、失敗の理屈を全部言葉にできるまで調べました。いま私が「水が溜まるところに塗装は使わない」「この状態には塗れません」と即答できるのは、塗ってはいけないものを塗った痛みを、自分が知っているからです。
だから、「うちなら何でも塗れます」とは言いません。目視できない内部については「100%大丈夫とは言い切れません」と、お客様に正直にお伝えします。プロの仕事は、何でもできると言うことではなく、できることとできないことの境界線を、理由つきで示すことだと思っています。
第5章:「塗らなくていい」と言われたら、この3つを聞いてください
ここまで読んでいただいたお礼に、明日から使える武器をお渡しします。業者に「塗らなくていいですよ」と言われたら、この3つを聞いてみてください。
質問1:「なぜ、塗らなくていいんですか?」
まともな業者なら、素材の名前と劣化の仕組みで答えます。「ガルバリウムで、白サビがまだ出ていないから」「アルミだから」。理由が「まだきれいだから」「もったいないから」しか出てこなければ、診断していません。
質問2:「もし塗るとしたら、御社はどうやって塗りますか?」
これが一番効きます。塗れない業者は、ここで言葉に詰まります。手塗りか吹き付けか、下塗りに何を使うか、具体的な工程が出てくるかどうか。「塗らなくていい」と「塗れない」は、この質問で見分けられます。
質問3:「塗らない場合、10年後にいくらかかりますか?」
誠実な業者は、時間軸で答えられます。「10年後に白サビが全体に広がっていれば、サビ処理の内容が変わって費用が上がります。腐食まで進めば張り替えです」。未来の数字を言えない「塗らなくていい」は、ただの先送りです。
第6章:塗らないのも、立派な選択です
最後に、いちばん大事なことを言います。
私はこの記事を、あなたに塗装をさせるために書いていません。実際、うちに相談に来られて「今は塗らなくていいです」で終わるお客様が、普通にいます。
私の仕事の原則は、こうです。プロができる最高を示して、お客様のことを勝手に見積もらない。
「このお客様は予算がないだろうから、安い案でいいだろう」「気にならないだろうから、言わなくていいだろう」——業者が良かれと思って出す妥協案は、たいてい誰も幸せにしません。お客様が買っているのは、塗装そのものではなく、判断するための知識だからです。だから私は、最高の選択肢と、塗らない選択肢と、それぞれの10年後を、理由つきで全部並べます。決めるのは、あなたです。
「塗らなくていい」と言われて、戸惑っているあなたへ。その業者が悪徳だと言いたいのではありません。ただ、ひとつだけ、「なぜですか?」と聞いてみてください。その答えで、すべてがわかります。
そして、もし今、手元にある見積もりや、業者に言われた一言で引っかかっていることがあるなら——それ、そのままイズミ塗装に聞いてください。他社の見積もりでも構いません。分かることは、全部お答えします。
私たちイズミ塗装は、「騙される人を減らす」ためにこの仕事をしています。あなたの家の診断が「塗らなくていい」なら、私はそのまま、そうお伝えします。
イズミ塗装代表 泉田
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イズミ塗装は、札幌の「手抜き工事」をゼロにしたいと考えています。
今回お話しした相見積もりの裏側以外にも、私たちのブログでは塗装業界のリアルや、失敗しないための知識を公開しています。大切なマイホームを守るための「教科書」として、ぜひ他の記事も参考にしてみてください。
また、私たちがどのような想いで札幌の街を彩り、どのような体制でお客様をサポートしているかについても、詳しくまとめています。
1. 代表の想い・運営の裏側を知りたい方へ
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著者名:イズミ(イズミ塗装代表)
北海道札幌市出身、イズミ塗装代表。大学時代に塗装職人として経験を積みながら経営学を学び、卒業と同時に代表に就任。2017年からは元請け事業に専念し、HPを通じて「騙される人を減らす」ことを目指し、結果として5年連続でTOP5の塗装屋に選ばれる。現在は塗装から総合リフォームまで対応し、15年保証や費用対効果No.1を達成。職人の腕を最大限に発揮させる環境づくりにも注力している。
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