外壁のクリア塗装は、外壁のデザインや色をそのまま残したい方に最適な方法です。本記事では、クリア塗装の特徴やメリット・デメリット、適している外壁材と塗料の選び方から費用相場まで、詳しくご紹介します。
透明な保護層を作り、外壁の美観を長期間保つクリア塗装について詳しく学びましょう。
クリア塗装の基本概要
クリア塗装とは何か
クリア塗装は、透明な塗料を外壁に塗布する方法で、外壁の色やデザインをそのまま保ちながら保護層を形成します。
クリア塗装は、外壁の素材そのものの美しさを際立たせ、自然な風合いを長く保つことができるため、近年注目されています。
クリア塗装が選ばれる理由
クリア塗装は、外壁の美観を損なうことなく、保護効果を高めたい場合に最適な選択肢です。
既存のデザインや色を維持しながら、外壁の劣化を防ぎ、寿命を延ばす効果も期待できます。
クリア塗装の種類
クリア塗装には、アクリル、シリコン、フッ素、無機など、さまざまな種類の塗料があります。それぞれの塗料は、耐久性、耐候性、価格などが異なります。
クリア塗装のメリット
デザインを維持できる
クリア塗装は、外壁の既存のデザインや色をそのまま維持できるため、新築のような美しさを保てます。
特に、個性的なデザインやこだわりの外壁の色を生かしたい場合にクリア塗装が選ばれる場合が多いです。
コーティング効果で長持ち
透明な保護層が外壁の劣化を防ぎ、チョーキング現象も起こりにくくなります。
チョーキング現象とは、外壁の塗膜が劣化し、粉状になって剥がれ落ちる現象です。クリア塗装は、この現象を抑制し、外壁の美観を長く保つ効果があります。
工期が短く、費用を抑えられる可能性がある
クリア塗装は工期が短く、コストを抑えられる可能性がありますが、これはあくまで一般的な傾向に過ぎません。
通常、塗装工程は3回の塗布が必要ですが、クリア塗装では2回の塗布で済むことが多く、その結果、工期や人件費が削減できる可能性があります。
ただし、コストが必ずしも安くなるわけではありません。
たとえば、2回塗りでも下地調整が必要な場合や、経年劣化で色が薄くなった部分の補修が求められる場合などは、追加の工程が発生することがあります。これにより、最終的な費用が増加する可能性も考えられます。
クリア塗装の仕上がりは職人の技術に大きく依存します。均一な塗膜が形成されないと、白濁や艶の不均一が目立つため、技術力が求められます。
そのため、しっかりとした施工を行う専門業者に依頼する場合は、通常の色塗りと費用が変わらないこともあります。
クリア塗装のデメリット
外壁の劣化が透ける
クリア塗装は、透明な塗料のため、外壁のひび割れや汚れが透けて見えてしまうことがあります。外壁の状態が悪い場合は、クリア塗装よりも、色つきの塗料で隠蔽した方が良い場合があります。
劣化が早まることも
色つきの塗料に比べて、クリア塗装は、紫外線や雨風による劣化の影響を受けやすく、再塗装のサイクルが早まる可能性があります。
施工が難しい場合がある
光触媒や特殊コーティングされた外壁においては、クリア塗装が適さないことがあります。これらの外壁は、クリア塗装との相性が良くなく、結果的に塗膜の剥がれや変色といった問題を引き起こすリスクが存在します。
特に、光触媒などの難付着系サイディングに対しては、クリア塗装が剥がれる可能性が非常に高まります。外見上は問題なく塗装されているように見えても、後に密着不良が原因で剥がれる恐れがあります。
難付着系サイディングはコーティング機能が優れているため、塗膜もまた汚れと同様に付着しにくく、結果として密着不良による塗膜剥離につながります。これを避けるためには、クリア塗装に関する知識と経験が豊富な業者に依頼することが重要です。
また、難付着系サイディングに関する適切な確認を行わない業者には注意が必要です。この点は意外と業者側でも理解が不十分なことが多いため、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
クリア塗料の選び方と価格
代表的なクリア塗料
クリア塗装には、さまざまな種類の塗料があります。代表的な塗料としては、ピュアライドUVプロテクトクリヤー(日本ペイント)、SKシリコンクリヤーW(エスケー化研)、キクスイSPパワーフッ素クリヤー(キクスイ)、スーパーSDクリヤーSi-JY(アステックペイント)などがあります。
これらの塗料は、耐久性、耐候性、価格などが異なります。外壁の状態や予算に合わせて、適切な塗料を選ぶことが重要です。
クリア塗装の費用相場
クリア塗装の費用は、使用する塗料の種類、外壁の面積、施工方法などによって異なります。一般的な費用相場は、平米あたり2,000円〜3,000円です。
ただし、特殊な塗料を使用する場合や、足場が必要な場合は、費用がさらに高くなることがあります。
耐用年数とメンテナンス
クリア塗装の耐用年数は、使用する塗料の種類や外壁の状態によって異なりますが、一般的には8〜10年程度が目安です。特に、クリア塗料は紫外線を透過しやすいため、サイディングなどの外壁が内部から劣化しやすく、塗り替えのタイミングが早まることがあります。
一方、シリコン系の塗料や色付きの塗料を使用する場合は、耐用年数が約12年程度とされることがあります。
定期的なメンテナンスを行うことで、クリア塗装の耐用年数を延ばすことが可能です。具体的なメンテナンス方法には、塗り直しが含まれます。
さらに、色付きの塗料と同様に長持ちさせたい場合は、耐候性に優れたフッ素や無機塗料へのアップグレードを検討することもお勧めです。これにより、外壁の保護性能が向上し、長期的な耐久性を確保することができます。
クリア塗装の適用条件と注意点
劣化が少ない外壁が適用対象
クリア塗装は、新築から10年以内の外壁に最適です。この際、外壁が劣化しておらず、特にチョーキング現象が発生していないことが重要な条件となります。
もしチョーキングが見られる場合、既存の塗膜はすでに傷んでいるため、その上からクリア塗装を施しても、表面の劣化により剥離が生じる恐れがあります。
このような場合には、色付きの塗料を使用して劣化部分を隠す方が効果的です。
不向きな外壁の種類
特殊コーティングされた外壁や金属系サイディングには、クリア塗装が適しません。
これらの外壁は、クリア塗装との相性が悪く、塗膜の剥がれや変色などの問題が発生する可能性があります。
塗料の選定方法によっては施工可能な場合もあるので、クリア塗装に詳しい専門業者に聞くことが大切です。
施工前に劣化状況を確認
クリア塗装を検討する場合は、施工前に専門家に外壁の劣化状況を確認してもらい、適切な対策を取ることが大切です。特に、ひび割れや汚れなどが目立つ場合は、クリア塗装よりも、色つきの塗料で隠蔽した方が良い場合があります。
まとめ
外壁のクリア塗装は、デザインや色をそのまま維持でき、多くのメリットがありますが、適用条件や注意点をしっかり押さえることが重要です。
クリア塗装を検討する場合は、外壁の状態、予算、施工方法などを総合的に判断し、信頼できる業者に相談することが大切です。
著者名:イズミ(イズミ塗装代表)
北海道札幌市出身、イズミ塗装代表。大学時代に塗装職人として経験を積みながら経営学を学び、卒業と同時に代表に就任。2017年からは元請け事業に専念し、HPを通じて「騙される人を減らす」ことを目指し、結果として5年連続でTOP5の塗装屋に選ばれる。現在は塗装から総合リフォームまで対応し、15年保証や費用対効果No.1を達成。職人の腕を最大限に発揮させる環境づくりにも注力している。
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